また、老人ホームにいる親は、帰宅させなければならないのか、子供の保育園はいつから始まるのか、スーパーやガソリンスタンドはいつから営業を再開するのかなどの情報も必要です。けれども、よく分からないままストレスが募り、正確な情報がないことによる混乱が続く。現在の本市の仕組みでは、こうした命に関わる情報を正確に早く入手するのは、極めて困難であります。救命・救助、避難生活、復旧・復興、全ては情報がなければうまく進みません。正確で迅速な情報がなければ、助かる命も助けられないのです。
余談ですが、振り返れば、
東日本大震災当日、私は市長選挙を直前に控えた田辺信宏さんに終日同行しておりました。当時は、まだスマホが普及しておらず、電話もしばらくつながらなかったため、ろくに情報収集ができませんでした。夕方、
JR清水駅前で、つじ立ちを行った際に、市民から御指摘を受けて、そこでようやく事態の深刻さに気がついたということがありました。
10年前のあの日、安否確認や情報収集でツイッターや
フェイスブックなどのSNSが有効であることが証明された結果、ガラケーからスマホへシフトチェンジとなる
デジタイゼーションの契機となった、時代の転換点であったのではないでしょうか。その後、国内の
スマホ利用率は90%を超え、その普及とともに、今ではSNSが
コミュニケーションツールの中心的役割を担うデジタライゼーションの時代が訪れました。当時は想像できなかったことが情報社会の発展と情報技術の進歩によって、実現可能な世の中となったのです。
質問に入る前に、大事な視点として、
ニューノーマル時代に突入したことによって、世界全体で加速する取組、
デジタルトランスフォーメーション──DXについて触れたいと思います。
DXとは、もともとは2004年に提唱された、デジタルの浸透が人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させるという概念です。これを自治体によるDXの視点で言い換えると、自治体が担う
行政サービスについて、最先端の
デジタル技術を活用することにより、
市民サービスの向上、業務の効率化を図り、その結果、社会変革をもたらすものと表現できます。
本市では、令和3年度の
組織機構改革で
局長級ポスト、
デジタル統括監、そして、
デジタル化推進課を創設しました。
デジタル化推進課の職務として、特に防災の
デジタル化が重要であることを明確にお示ししていただき、そして、これを機会に縦割り組織の壁を乗り越え、本市のDXを象徴する
情報サイトの構築を実現していただきたいと思います。
参考までに、今年2月、神奈川県は民間開発による
AI防災チャットボットシステムSOCDAの実証実験を実施し、来年度の本格導入を目指しております。これは、まさに以前市長が答弁された誰もが使える
シンプル操作の
インターフェースを取り入れ、AI、IoT等の最新技術を活用したポータルサイトの構築を民間連携の下、着実に進めるという目標が既にほかの自治体で始まりつつあることを意味します。
一方で、市長が掲げる
情報サイトの構築は、まだ道半ばであると言えます。残りの任期中に公約を実現できるかどうか、市長御自身の本気度が求められます。ぜひ市民の命を救える
情報システムを必ずつくるという強い決意をここで示していただきたいと思います。
前置きが長くなりましたが、以上を踏まえて1つ目の質問です。
静岡型災害時
総合情報サイトの構築と静岡市の
デジタル化を進める上での位置づけとはどのようなものか、お答えください。
次に、中項目、
無電柱化推進計画について、2点質問します。
これまでにも無電柱化は、1、防災性の向上、2、安全性、快適性の確保、3、良好な景観、以上の3つの視点から実施されてきましたが、近年では災害の激甚化、頻発化により、全国的にますますその必要性が高まっております。
例えば平成28年発生の熊本地震では、244本もの電柱が倒壊し、約477万戸の停電が発生しました。また、平成30年に県内を襲った台風24号では、強風による飛来物や落雷、倒木により電柱が倒壊した結果、浜松市では約26万5,200戸の停電が発生しました。本市でも水道施設が停電した結果、延べ2,450戸で断水が生じました。
それら過去の教訓を踏まえた上で、特に
南海トラフ巨大地震に対する備えとして、本市の無電柱化は非常に重要な施策であります。
平成28年、衆参両院の全会一致で成立、施行された無電柱化の推進に関する法律を踏まえ、努力義務とされた
無電柱化推進計画を、本市は平成30年に策定しました。
それによると、平成30年からの3年間で、市内7つの
整備計画路線で6.8キロの無電柱化に着手することが明記されております。そのうちの1つ、日本平公園の無電柱化は、本定例会の補正予算案に上程されております。
さて、無電柱化で障害となるのが膨大なコストと長きにわたる工期です。通常、倒壊した電柱の復旧は、道路1キロメートル当たり2,000~3,000万円で済んでしまうのに対し、無電柱化の工事費は道路1キロメートル当たり、約5億3,000万円にも上り、加えて工期は平均7年に及びます。
限りある予算の中で、本市の防災機能を強化する無電柱化が計画的に行われているか、優先的に推進すべき道路を意識した取組がなされているのか、本市の取組状況をまずは知る必要があります。
そこで、1点目の質問です。
無
電柱化事業のこれまでの進捗状況はどうか、お答えください。
続けて伺います。
無電柱化の動向ですが、
国土交通省は今年5月、令和3年度を初年度する第8期
無電柱化推進計画を策定しました。計画のポイントは3点です。
1点目、新設電柱を増やさないこと。
電柱が減るどころか、むしろ毎年7万本も増加しているという驚きの事実が判明しました。国交省は、今年度中に実態調査に乗り出し、対応策を取りまとめる方針です。
2点目、徹底したコスト縮減。
道路管理者は関係者と連携し、多様な整備手法により、令和7年度までに平均して約2割の削減に取り組むよう求めています。
3点目、事業のさらなるスピードアップを図る。
発注の工夫や民間技術の活用、地域の合意形成の円滑化によって、事業期間の半減に取り組む。無
電柱化事業は、本市単独では事実上不可能なため、これら国の方針に沿った国や電線管理者との調整、連携、支援を踏まえた中長期的な施策が必要であると考えます。
また、無
電柱化事業は、防災のほかにも地域資源の魅力を高める施策であり、
アフターコロナの訪日外国人の増加を見据え、地域経済の活性化に寄与するため、事業を推進すべきであると考えます。
以上を踏まえて、2点目の質問をします。
国土交通省が策定した今回の
無電柱化推進計画を受け、今後どのような方針で整備を進めるのか。
以上で1回目の質問を終わります。
5 ◯市長(田辺信宏君) 私から大項目、DXによる
防災減災対策について、
静岡型災害時
総合情報サイトの構築と静岡市の
デジタル化を進める上での位置づけは、どのようなものかとの御質問にお答えいたします。
議員御指摘のとおり、きっかけは平成30年の台風24号による大規模停電でありました。市内で停電が起こってしまったときに、市民の皆さんから市の
ホームページの情報では不十分だと、被害状況だけではなく、市民が必要とする情報が得られないという課題が明らかになりました。
そこで、私は、その課題を解決するために、市民の皆さんが、災害が起きたときに必要な情報を一元的に、容易に知ることができる
仕組みづくりを
マニフェストに掲げ、
静岡型災害時
総合情報サイトを構築することを公約にいたしました。
目下、このサイトの構築は、次の3つの段階で進めております。
まず、第1段階は、
ホームページの整理と拡充です。
市民の皆さんからの問合せの多かった台風や大雨の際の気象や河川、道路や交通機関、そしてライフラインの最新状況などの情報にアクセスしやすいように、市の
ホームページの中の「静岡市の
緊急防災情報」を整理、拡充し、昨年6月より提供を始めております。
議論の過程で、第2段階は、2つあるということが明らかになりました。2段構えでやっていきます。
まず、職員が収集した災害情報を管理、共有する仕組みをつくるということ。もう1つは、これらの情報を市民の皆さんに分かりやすく提供できる仕組みをつくるということであります。
この第2段階の1つ目として、災害が発生したときに、職員自身が現場で得た様々な情報を集約し、その共有化を図るとともに、災害対策の検討などにつながる
災害情報共有システムを整理し、これも今年4月より運用を開始いたしました。
このシステムは、より広域での情報共有を目的とした国や県のシステムとも連携しており、これまでより迅速かつ正確に情報の収集や発信を実施することが可能になりました。現在ここまでが完了しております。
次に、第2段階の2つ目でありますが、第1段階で整理した
ホームページの情報やこの第2段階の1つ目、
災害情報共有システムに集約・管理した情報を時間とか、場所とか、種別などに分類して、必要な情報にアクセスしやすく、スマホなどの機器からも確認できるよう、分かりやすい形で提供する仕組みをつくってまいります。
例えば利用者も多く親しみのある
インターフェースであるLINEのアプリの活用を想定しています。画面上に災害関連の情報が一目で分かる複数のメニューを作成し、いずれかを選択することによって、必要とする情報にたどり着けるよう、市民の皆さんに分かりやすく情報提供できる仕組みをつくります。これを今任期、令和4年度末を目標に構築していくことを改めて申し上げます。
さらに、その先、この3年間でも
デジタル技術の発展は日進月歩であります。最終の第3段階では、こうして構築したシステムにおいて、行政からの情報提供だけではなく、私の地区では今こうなっていますなど、市民の皆さんや企業の皆さんが情報の送り手になっていく双方向の
システム化を目指してまいります。
その上で、様々な手段で寄せられる情報の信頼性の向上のため、進歩が目覚ましい、例えばAI技術を活用していくなど、最新の
デジタル技術に合わせてシステムをアップデートしてまいります。
というのも、現在の
デジタル技術を取り巻く環境は、単に決められた目的に
デジタル機器やそれらを用いた仕組みを利用する、議員御指摘のいわゆる
デジタイゼーションの時代から、
デジタル技術の特性を生かし、これまでの社会通念や慣例を改革していくというDX──
デジタルトランスフォーメーションの時代への転換期を急速に迎えております。
この防災・減災対策の分野においても、これまでの行政主体から市民の皆さんや地域の企業の方々もそれぞれの立場で関わりを持ち、課題に対し、様々な手段や方策を共に考え、
デジタル技術で解決できるものは速やかに取り入れ、実現を図る、これが本市の進めるべきDXであると考えております。
行政分野はたくさんありますけれども、現在、本市にて検討を進めている
デジタル化の
推進プランにおいても、この防災・減災対策の取組は、欠くことのできない重要施策として位置づけていくことといたします。
このサイトの構築に当たっては、改めて議員各位、市民の皆さんの視点に立ち、真に必要な情報提供の方法や手段について検討し、最新の
デジタル技術を駆使し、市民にとって利便性の高いものになるよう取組、DXによる防災・減災対策を推進していきます。
引き続き、議員の御指導、御支援をよろしくお願いいたします。
以下は、副市長及び局長から答弁させます。
6 ◯副市長(本田武志君) 私からは、
無電柱化推進計画についてお答えいたします。
まず、無
電柱化事業の進捗状況についてですが、本市における無
電柱化事業は、昭和61年に定めた
電線類地中化計画に基づき、安全で快適な通行空間の確保、都市景観の向上、都市災害の防止を目的に整備を開始し、これまでJR静岡駅、清水駅、東静岡駅周辺の都市拠点を中心に整備してまいりました。
平成30年度からの計画では、
南海トラフ巨大地震や台風など、災害による電柱の倒壊リスクを解消するため、緊急輸送路や避難路などで防災機能の強化に特に着目し、整備を推進しております。
このような取組の結果、令和2年度末までに、市内の93路線、延長約79キロメートルで整備が完了しており、現在、
主要地方道山脇大谷線など7路線、延長約7キロメートルにおいて事業を進めておるところでございます。
次に、今回の
国土交通省の計画を受けた本市の整備方針についてですが、国の計画では防災、安全・円滑な交通確保、景観形成・観光振興を3つの柱としております。これは近年の災害の激甚化に対応するため、防災機能の強化に加え、
少子高齢化が進む中で、全ての人が安全・安心に利用できる道づくりに向けたものでございます。
また、無電柱化により、豊かな自然環境や歴史的な美しいまち並みが形成され、まちの魅力を高めることで、観光振興や地域の活性化につなげていくことが期待されております。
これら国の計画や本市の状況を踏まえて、基本方針を、改めて防災機能の強化、安全・安心のまちの形成、魅力ある景観の創出といたしまして、今後とも積極的に無
電柱化事業を推進してまいります。
〔堀 努君登壇〕
7 ◯堀 努君
静岡型災害時
総合情報サイトについて、市長から御答弁いただきました。市民に伝わりやすい情報発信の一例として、
LINE公式アカウントの活用に言及されましたが、令和4年度末の目標設定は少々物足りなさを感じます。
本市は、既に
新型コロナ感染症に関する情報発信を
本市LINE公式アカウント上の
リッチメニューを活用して実践しております。防災情報についても同様に、できることからすぐに始めていただきたく、お願いいたします。
そのほかの意見・要望は3回目に述べさせていただきます。
2回目の質問に移ります。
無電柱化推進計画について、1点伺います。
ただいまの本田副市長の答弁によると、国の基本方針と同様に、防災機能の強化、安全・安心なまちの形成、魅力ある景観の創出の3つの視点で、積極的な無
電柱化事業を継続していくとのことでありました。
魅力ある景観の創出について、国交省の推進計画によると、
世界文化遺産周辺の無
電柱化着手地区数を5年間で37地区から46地区に増やす方針となっております。
世界文化遺産富士山の構成資産である三保松原について、本市は平成26年から2年かけて三保松原へ続く
都市計画道路清水港三保線、
通称三保街道で富士山の眺望を妨げていた横断線を1.5キロメートルの区間で撤去しましたが、無電柱化については、当時、基準となる国のガイドラインがなく、具体的な実施時期は定まっておりませんでした。
その後、本市は現行の推進計画における基本方針として、
世界文化遺産構成資産三保松原の無電柱化を実施する旨、明記しました。本市の推進計画は改定時期を迎えております。
次期推進計画において、具体的な
整備計画路線として三保街道を指定することは、国の計画と相まって、自然の流れではないかと考えております。
三保松原へ向かう途中、三保街道の正面から浮き上がるように現れる富士山の情景は、訪れるものに唯一無二の感動を与えてくれます。
同じく、世界遺産である富士宮市の
白糸の滝周辺では、県によって既に無電柱化が実施されましたが、そこから仰ぐ富士山の情景と比較しても、決して引けを取ることはありません。
さらに、三保街道は災害時における避難道としての役割を果たす重要な道路であり、無電柱化の優先順位は高いことは間違いありません。
以上を踏まえて、質問します。
世界文化遺産構成資産である三保松原の景観に配慮した
都市計画道路清水港三保線の無電柱化について、どのように考えているのか。
以上、2回目の質問を終わります。
8 ◯建設局長(海野 強君)
都市計画道路清水港三保線の無電柱化についてですが、当路線は、大規模地震などの被災時において、津波避難路としての役割を求められております。
また、三保松原への
アクセス道路であり、
世界文化遺産富士山への眺めをより一層魅力あるものとするためにも、無電柱化の効果は大きいものと考えております。
議員御指摘のとおり、これまで、三保松原が
世界文化遺産富士山の構成資産へ登録されたのを機に、平成26年度から27年度にかけて、横断架空線を撤去したことにより、来訪者や市民の皆さんから、きれいな富士山が見えるようになったなどの声を多数いただいております。
当路線の無電柱化については、令和3年度策定予定の静岡市
無電柱化推進計画に位置づけ、事業を進めてまいります。
〔堀 努君登壇〕
9 ◯堀 努君 3回目は意見・要望です。
市長は以前、
施政方針演説でこう述べられました。
我々は今、時代の転換点に身を置いている。コロナ禍を奇貨とし、歴史から学び、未来を切り開く自覚を持つ備えが肝要だ。中世社会で起きた1世紀分の変化が、コロナ禍の中では僅か数年間で起こるとも言われている。あらゆる生活の局面でDXが進み、社会の生産性が大きく向上することが期待される。これは、この
ポストコロナ時代の世界を市長室に掲げられた書「彰往考来」に即して言い表したものではないでしょうか。
私たちは、今どんな時代を生きているのでしょうか。DXの推進には、トップダウンだけではなく、市職員の理解と現場から発案できる環境づくりが重要となります。市職員の皆様には、時代の
歴史的転換点に立っているという市長と共通の時代認識をお持ちいただき、社会変革の担い手として、
静岡型災害時
総合情報サイトの構築に邁進していただきたいと存じます。
そして、田辺市長におかれましては、着眼大局、着手小局、まずは御自身でSNSを活用して情報発信されてみてはいかがでしょうか。田辺市長の盟友、熊本市の
大西一史市長は、日常的にツイッターで情報発信することで知られており、16万人以上のフォロワーがいるインフルエンサーとしての一面をお持ちです。
また、以前、
千葉市長時代の
熊谷俊人知事の基調講演を拝聴した際、
令和元年東日本台風の体験談として、一般の方々がツイッターを通じて、市内のどこで停電が起きているか、どこで倒木が起きているのかといった状況を次々にアップしてくれたから、ほかの様々な情報と合わせ、徐々に被害の全容が分かってきた。こうしたSNSの活用があったからこそ、2日目には早くも長期停電を想定した対策を打つことができたと語り、SNS活用の重要性を示しました。
私は、令和時代にふさわしい首長の条件として、
ITリテラシーの向上は不可欠であると考えております。田辺市長におかれましては、失言に御注意していただきながら、ツイッターでの情報発信に挑戦していただくよう、ここで要望いたします。
三保街道の無電柱化について、建設局長から令和3年度策定予定の
無電柱化推進計画に位置づけ、事業を進めていくとの御答弁をいただき、胸をなで下ろしております。
最後に、安全・安心なまちの形成の視点から、お願いがあります。
本市の無
電柱化施策に関連して、子供たちの安全・安心な通学路を確保する施策を講じていただけないでしょうか。例えば清水区の駒越地区では、学校の通学路に敷かれた路側帯の
グリーンベルト内に電柱が複数立っており、電柱を避けるために車道にはみ出さなければなりません。登下校中、児童の横、すれすれで車が通る光景も珍しくありません。ぜひ子供目線に立ち、電柱の安全点検と実態調査を実施していただき、
次期推進計画に何らかの反映をしてくださいますようお願い申し上げます。
以上をもちまして全ての質問を終了といたします。(拍手)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
10 ◯議長(鈴木和彦君) 次に、山梨 渉君。
〔山梨 渉君登壇〕
11 ◯山梨 渉君 通告に従いまして、質問いたします。
初めに、大項目1、第4次総合計画策定について伺ってまいります。
第3次総合計画の期間もいよいよ残り2年を切り、総仕上げのステージに入りました。平成27年、市長のリーダーシップの下、策定された3次総による事業は、一定の成果を上げてきました。また、総合戦略と合致させ、SDGsを組み込むなど、臨機応変な調整も図られてきました。
しかし、道半ばの事業、また計画の変更を余儀なくされた事業もあります。現在、目下最大の課題である新型コロナウイルス感染症は、まさに予期できなかったものであり、先を見通すこと、計画どおりに進めることの困難さを改めて突きつけられました。
3次総が掲げた最大目標は、2025年、総人口70万人維持です。日本全体が人口減少局面に突入している中での果敢な目標であります。
3次総は、人口減少対策のための総合戦略と一体となって取組、平成27年10月に策定した第1期総合戦略5年間の中で、移住支援センターの開設などの取組が実施されました。人口は減少したものの一定程度その速度を鈍化させたとしています。
その後、令和2年3月には、第2期総合戦略を策定、両者の関係性が分かりにくいことから、総合計画の中に総合戦略を組み込みました。第2期総合戦略では70万人との表現がなくなり、人口活力の維持をするための交流人口、関係人口の増加という概念に切り替えました。事実上、人口70万人維持との表現が形骸化した格好です。結果的に6年間で1万9,000人余りの減少。このうち約6割は清水区で、実に1万1,000人余りの減少になります。
次に、宮城島史人君。
〔宮城島史人君登壇〕
64 ◯宮城島史人君 それでは、通告に従い、質問を始めさせていただきます。
志政会所属、新人の宮城島史人です。改めてどうぞよろしくお願いいたします。
まず初めに、大項目1、5大構想の海洋文化の拠点づくり、歴史文化の拠点づくりからみた三保半島について。
中項目の世界文化遺産としての現状とマリンリゾート化への展開についてであります。
三保半島の観光振興は、今後の本市の発展に必要不可欠と考え、三保半島に関する7つの質問を始めさせていただきます。
まず、1つ目の質問です。
三保半島の特色を生かした今後のまちづくりについて、市の考え方はどうなのかをお伺いいたします。
私は、三保半島に生まれ、三保半島で育ち、ほぼ現在に至るまで三保半島で観光関連の仕事をしながら、大半を過ごしてまいりました。自他ともに認める三保っこであります。
三保は、万葉集以降、多くの和歌の題材となり、羽衣伝説の歌謡の舞台にもなりました。15世紀、16世紀には、三保松原との構図が富士山画の典型になり、その頃の三保のほとんどは、御穂神社の社領地になっており、村民は残りの土地での半農半漁の生活をして暮らしていたそうです。
そんな背景があり、明治時代から大正時代にかけてアメリカへ移民した三保の村民は、何と2,000人を超えていました。その当時、三保はアメリカ村と言われていたこともあり、私の親戚もアメリカに今でも多く住んでおります。
私の子供の頃は、朝は地引網を手伝い、昼間は近くの温室でトマト、キュウリ、枝豆を栽培するのを横目で見ながら過ごし、夏になると、真崎海岸に多くの海の家が立ち並び、海水浴場が県内外の多くの人たちでにぎわっていました。ちなみに、三保海水浴場は大正2年、1923年に伯梁と大正という2軒の海の家で始まったそうです。
私の思い出は、砂浜がとても長く、子供の素足では波打ち際まで行けないほど、砂浜が熱くなり、途中で海浜植物の草の上に足を載せて、冷やしてから海まで走って入ったものでした。今の海水浴場を見ると、海岸侵食とスーパー堤防によって、残念ながら昔のよき時代とは少しかけ離れた景観になっています。
また、昭和50年頃までは、三保地区は日本鋼管の清水工場、金指造船、三保造船と多くの造船所が栄え、波止場から水上バスに乗って通勤する人が毎回、満員状態で運航しており、地元の商店街の人たちも活気にあふれ、とてもにぎわっておりました。
そんな昭和から平成、令和と時代が移り変わり、三保半島も時代に合わせて変革してまいりました。1980年代の造船不況の波をもろにかぶり、三保地区の造船業界は撤退、縮小を余儀なくされて、その後バブル崩壊と続き、観光サービス業である宿泊施設や観光飲食業も大きな痛手を負いながらも、企業努力などにより、生き延びてまいりました。
その中で、2013年6月に、三保松原が
世界文化遺産富士山の構成資産に登録され、全国から多くの観光客が訪れてくれるようになり、2019年4月にビジターセンター機能を持ったみほしるべがオープン、また、日本三大美港の清水港には、多くの大型豪華客船が訪れるようになり、いよいよ三保半島はこれからだというときに、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、ほとんどの機能がストップしてしまいました。
これからまちづくりを進める上でも、このような状況の中、どのようにして立て直していくかが大変重要だと考えます。
2つ目の質問です。
今年4月にオープンした三保ビーチステーションについてですが、今後どのような役割を期待しているのかをお伺いいたします。
現在、三保真崎地区には三保ビーチステーションが整備され、運営を開始しています。真崎地区には年間を通じて海洋スポーツや釣り、夏には海水浴場に多くの市民や観光客が訪れ、にぎわいを見せております。それぞれのルールづくりは進められておりますが、統一したルールづくりがなく、中には利用者同士のトラブルも現場では発生していることもあり、今後の海洋レクリエーションの活性化や回遊性の向上を図るためにも、早急の対応が必要と考えます。
3つ目の質問です。
三保半島渋滞緩和に向けた羽衣海岸線の整備状況と今後の進め方はどうかをお伺いします。
コロナ禍の中でも今年5月のゴールデンウイークには、三保街道や羽衣の松に続く神の道の側道は、観光客の自動車で大渋滞を起こし、市民の生活道路が機能麻痺を起こして、住民からは観光客は要らないとまでいう発言が出ています。コロナ終息後には、さらなる状況悪化が予想され、渋滞緩和に向けた対策が急務と考えます。
4つ目の質問です。
このたび太平洋岸自転車道がナショナルサイクルルートに指定されましたが、期待される効果はどのようなものかをお伺いいたします。
静岡市内の海岸線沿いには、今年5月に
国土交通省からナショナルサイクルルートに指定された太平洋岸自転車道が整備されており、休日になると多くのサイクリストが利用しているのを目にいたします。三保半島もその沿線上にあり、特に三保地区は平坦な地域で、信号機も少なく、三保松原や海を見ながら自転車で走るには最高のロケーションであります。市民や観光客が自転車を利用して休暇を楽しむことは、健康増進や癒やしにも大変有効だと考えます。
5つ目の質問です。
水上バスとシェアサイクルの利用促進は、どのように進めていくのかをお伺いいたします。
観光客にとって、交通の足は大きな要素を占めており、これからの脱炭素社会を見据え、マイカーに代わる交通機関も考えていく必要があります。
現在、三保への公共交通や観光の目玉として期待される水上バスやシェアサイクルについては、利用促進に向けた取組が必要ではないかと考えます。
6つ目の質問です。
現在、松の保全のために会場が利用できない状態になっております羽衣まつりの概要と、令和3年度の取組はどうなっているかをお伺いいたします。
世界文化遺産である羽衣の松を会場に開催される歴史ある羽衣まつりは、今年で38回目を迎え、市民の楽しみの1つになっております。
この時期に披露される能「羽衣」はすばらしく、まさしく三保松原が芸術の源泉であるあかしだと思っています。
演者として出ていただいたことがある能楽師の佐野 登氏が地元清水第五中学校の卒業生という縁から、五中の生徒の皆さんに能「羽衣」を教えてくださり、その成果として、毎年このお祭りで披露し、生徒たちの郷土愛を育んでおります。
7つ目、最後の質問です。
三保地下海水を利用したトラウトサーモン陸上養殖事業の進捗はどうか。また、今後の展開はどのように考えているかをお伺いします。
旅の楽しみには食は欠かせません。現在では中止になっていますが、毎年清水港マグロまつりや由比桜えびまつりが開催されて、多くの観光客や市民でにぎわいを見せ、清水のマグロ、由比のサクラエビというブランドが生まれ、全国的にも有名であります。
そうした中、三保でのトラウトサーモンの陸上養殖が進んでおり、今後のしずまえブランドの新たな魅力として期待されているところでございます。
以上、1回目の質問とします。
65 ◯市長(田辺信宏君) 私から、大項目1、5大構想の海洋文化と歴史文化の拠点づくりからみた三保半島についてのうち、三保半島の特色を生かした今後のまちづくりについて、市の考え方はどうかとの御質問にお答えいたします。
議員の三保半島に対する強い思いをしっかりと受け止めさせていただきました。確かに三保半島はプリズムのような多面性を持った特色を持っております。
訪れる場所として、世界文化遺産に登録された三保松原をはじめとする自然環境や歴史資源、あるいは働く場所として、臨港地区には造船所をはじめとした製造業の様々な工場が立地する。さらには、学ぶ場所として、東海大学海洋学部をはじめとする海洋関連の教育施設が設置されている、多面性に満ちた特色のある地区だと理解しております。
それを3次総においても、私どもは磨き上げをしてまいりました。例えば、三保松原周辺の環境の保全であるとか、ビジターセンターとしてのみほしるべの整備であるとか、神の道の整備、あるいは地元組合と公民連携の土地区画整理事業への支援、あるいは富士山の眺望を背景とした景観計画重点地区の指定などに取り組んでまいりました。
一方、午前中の質問にもありましたが、道路整備や無電柱化に向けてのインフラの整備、あるいはソフト施策として、水上バスや自転車を活用してアクセスの向上とか、回遊性の向上を意図した観光政策も進めてまいりました。
これらを踏まえ、今後どのようにまちづくりをさらに進めていくかが問われているかと思います。その道しるべになるのは、2019年、開港120周年を節目に、令和元年ですね、策定した清水みなとまちづくりグランドデザインであります。これは公民連携協議会がおおむね20年後、2040年頃を想定した将来像を取りまとめてくれたものであり、これが私どもの道しるべであります。
このグランドデザインの中では、先導的に取り組むべき地区として、三保半島内では折戸湾、貝島・塚間、そして三保海岸、この3つの地区を位置づけております。これは、3つとも大変重要な地区でありましょう。
中でも真崎や内浜を中心とした三保海岸地区はウインドサーフィンをはじめとした様々なマリンスポーツに適した環境を持っているということ。あるいは食の資源の豊かさ、特産の野菜とか、地下海水を生かした養殖等、人々を引きつけるコンテンツがたくさんあり、コロナ禍の状況にあっても、アウトドア活動や教育旅行での訪問需要が高まっているところであります。
ポストコロナ時代では、ますます有力でありましょう。
このような場の力を生かす新たな取組として、民間業者の皆さんが内浜の桟橋に隣接する旧旅館の再生に乗り出していて、今年4月から教育旅行や研修旅行の受入れも始めたところであります。
本市行政でもこの宿泊施設の中で、水上バスの利用者や散策に訪れた方々の休憩、観光案内などを目的としたビーチステーションの整備に支援を行い、既に多くの方々に利用していただいております。
私も先日、進捗状況の確認方々、現地に赴いてまいりました。内浜から日本平に沈む美しい夕日を眺め、この風景が大きな財産であるということを改めて認識しましたし、議員が指摘するマリンリゾート化、それも世界水準のマリンリゾートになる可能性やポテンシャルを十分感じたところであります。
一方、この民間事業者の新たな取組に呼応するように、三保を建学の地とする東海大学では、来年度から人文学部を海洋学部とともに開学し、新しい考え方、スルガベイ・カレッジ静岡というものを打ち出していき、文理融合、生態系や地学、社会文化など多面的な駿河湾全体像の解明を駿河湾学と名づけて教育活動、研究活動の両面から追求していくことを表明されました。まさにこれからますます公・民・学の具体的な動き出しが強まっていくことと思われ、その相乗効果に期待しております。
このような現況を踏まえ、質問いただきました。総じて、今後の静岡市の三保半島のまちづくりについての考え方としては、引き続き世界文化遺産の保全を果たしつつ、質の高い民間投資と海洋研究産業を呼び込んで、それらに対応するハード、ソフト両面からきめ細かい支援を機動的に行うことによって、グランドデザインで掲げた道しるべ、将来像の実現につながるまちづくりを4次総の中にもしっかりと位置づけて、取り組んでいきます。
議員の架け橋としての今後の御活躍を期待するものであります。
以下は、局長及び統括監に答弁させます。
66 ◯海洋文化都市統括監(杉山雄二君) 三保ビーチステーションに今後期待する役割についてですが、本施設は三保内浜の水上バス桟橋前に立地し、来訪者の待合スペースや観光案内の機能を有することから、本年4月のオープン以降、既に200名以上の方々が水上バス利用時や内浜散策の際に立ち寄っており、今後、三保半島内や江尻・日の出との回遊に貢献すると期待しております。
また、三保内浜では、従来から民間事業者によりサップとウインドサーフィンの大会である三保カップをはじめとするマリンスポーツイベントが開催されております。今回、海に面した常設のビーチステーションができたことで、ビーチバレー大会、定期的なマルシェの開催など、内浜を利用した新たなイベント展開が可能となり、今後、夏季に本市が設置する海水浴場との連携も含め、年間を通じた三保内浜の利活用の充実にも貢献するものと考えております。
さらに、ビーチステーションは、地元住民に対しても開かれ、内浜の清掃や将来のまちづくりなど、地元関係者の活動や打合せなどに利用されていることから、今後、情報交換や連携を深められる地域づくりの拠点としての役割も期待しております。
本市としても、今後もこのような公益的な役割を継続していただくため、引き続きビーチステーションを活用したイベント活動や回遊促進などを支援してまいります。
67 ◯建設局長(海野 強君) 三保半島の渋滞緩和とナショナルサイクルルートについての2点の質問にお答えいたします。
まず、三保半島の渋滞緩和に向けた羽衣海岸線の整備状況と今後の進め方についてですが、羽衣海岸線は国道150号から三保松原へアクセスする都市計画道路で、現在、三保半島を東西に結ぶ2.2キロメートルの整備を実施しています。
事業進捗としては、国道150号から清水南高校までの760メートルを平成31年4月から部分的に供用開始しました。このことによって、地区内の交通分散化が図られ、地域の皆様からは安全・安心な通行ができるようになったとの声をいただいており、さらなる事業進捗が期待されています。
今後も地元及び関係機関の御協力をいただきながら、用地取得と工事を継続的に実施し、事業効果を早期に発現できるよう、部分供用を図りつつ、全線の開通を目指してまいります。
次に、ナショナルサイクルルートの指定により、期待される効果についてですが、本年5月にナショナルサイクルルートに指定された太平洋岸自転車道は、千葉県銚子市から和歌山市に至る全長1,487キロメートルの自転車道で、本市ではこのうち58キロメートルがルートとなっており、その一部は三保半島を一周しています。
ナショナルサイクルルートは、国が指定し、観光資源と連携させたサイクルツーリズムの推進を目的としています。この指定により、日本を代表するサイクルルートとして、国内外へのPRを国が行うため、訪日外国人旅行者を含むサイクリストの誘客に大きな期待が寄せられています。
したがって、この指定は、
アフターコロナを見据えた三保半島地区における新たなにぎわい創出にもつながっていくものと考えております。
68 ◯観光交流文化局長(望月哲也君) 水上バスとシェアサイクルの利用促進と羽衣まつりに関する御質問にお答えいたします。
まず、水上バスとシェアサイクルの利用促進についてですが、水上バスは江尻地区、日の出地区、三保地区の観光スポットをつなぐ交通手段であるとともに、洋上からの富士山を望むという特別な体験を提供する観光資源でもあると考えております。
シェアサイクルは、令和2年度に水上バスの発着所や
世界文化遺産構成資産の三保松原などにポートが整備され、三保を巡る新たな移動手段となりました。
これにより、小回りの利く自転車で三保半島全域を観光でき、水上バスを使えば、清水都心ウォーターフロントとも一体的に周遊することが可能となったため、本市としましても、自動車に頼らない新たな旅のスタイルとして旅行者の皆さんに提案していきたいと考えております。
そこで、利用促進に向けては、情報発信と周遊を促進する仕掛けの2つの取組を進めてまいります。
情報発信につきましては、令和2年度に作成した三保半島のお勧めスポットや歴史を紹介する清水区サイクリングルートマップをJR清水駅の観光案内所やポート周辺の河岸の市、エスパルスドリームプラザなどの観光施設に配架し、シェアサイクルの利便性を周知してまいります。
周遊促進の仕掛けにつきましては、令和2年に好評でありました観光施設や飲食店の利用と交通料金がセットとなった清水港まぐろきっぷのような三保半島で使える企画乗車券の販売を事業者の皆さんに働きかけ、水上バスを利用した三保半島への回遊を促していきたいと考えております。
今議会に上程している補正予算にも、企画乗車券やシェアサイクルの割引支援を盛り込んでおり、これらを通して清水区内の周遊観光の促進に取り組んでまいります。
次に、羽衣まつりの概要と令和3年度の取組についてですが、羽衣まつりはフランスで能「羽衣」の上演に情熱を傾けたエレーヌ夫人を顕彰して行われる祭りで、昭和59年に始まり、令和3年度で38回目を迎えます。羽衣伝説発祥の地である三保松原で上演されます三保羽衣薪能と市立清水第五中学校の生徒による三保こども能楽などで構成されています。主催は地元企業や三保地区の自治会の皆さんで構成される羽衣まつり運営委員会が務めております。
薪能につきましては、松の保全と会場のバリアフリー化など、従来からの問題を解決するために、運営委員会が全体の見直しを行いました。この結果、令和3年度は10月23日に静岡市三保松原文化創造センターみほしるべ前広場で行うことに決定されました。
また、観覧料につきましては、薪能をより多くの皆さんに観覧していただけるよう一般観覧料を1,000円値下げし、5,000円とすると伺っております。
加えて、みほしるべや三保地区で行われるナイトイベント「あかりともるよる」と同時開催するなど、三保地区と連携した事業も考えていると伺っております。
本市といたしましても、世界文化遺産の中で行われる伝統ある文化事業として位置づけており、本市の文化振興につながるものであると考えております。
三保地区で継続していくことで、より多くの皆さんに親しまれる文化事業となるよう支援してまいります。
69 ◯経済局長(加納弘敏君) トラウトサーモン陸上養殖事業の進捗と今後の展開についてですが、この事業は、事業主体である日建リース工業株式会社が令和2年11月に養殖場を整備し生産に取り組んでいるものでございます。
三保の地下海水で育った寄生虫の心配のない安全・安心で高品質なトラウトサーモンは、本市の新たな食の魅力の1つとなり得るものであり、飲食や観光、食品製造など、幅広い産業への波及効果も期待されることから、市としても施設整備の助成のほか、連携できる可能性のある市内事業者の紹介等の支援を行っているところです。
現在までの進捗といたしましては、順調に養殖生産が進んでおり、早ければ本年9月中にいよいよ第1号の養殖サーモンが市内の宿泊施設などに出荷される予定でございます。
今後、三保の枝豆やトマトなど、地元農産物を活用したメニューや加工食品の開発、また観光ツアーの商品化などによる販路拡大及びブランドの確立に努め、地域経済の活性化を図っていくよう、引き続き、東海大学やするが企画観光局、地元の金融機関、宿泊施設、食品製造事業者等と連携して、官民一体で取り組んでまいりたいと考えております。
〔宮城島史人君登壇〕
70 ◯宮城島史人君 御答弁ありがとうございました。
それでは、2回目の質問をさせていただきます。
大項目2の中部横断自動車道の開通を見据えた観光振興について、中項目の観光への波及効果について2つお聞きいたします。
1つ目の質問です。
甲信地方からの誘客に当たり、来訪者を具体的に想定した対応が必要と考えるが、どのように対応していくのかをお伺いいたします。
中部横断自動車道は、私が20代の頃の昭和62年、1987年に「君は太平洋を見たか、僕は日本海を見たい」というキャッチフレーズの下、計画が始まり、それから34年目の本年9月に清水区の新清水ジャンクションから山梨県甲斐市の双葉ジャンクションに至る延長約74キロメートルの区間が開通する予定です。これにより、東名、新東名、中央自動車道が南北の高速道路で直結し、物流などのアクセスの飛躍的な向上が期待されています。
それと同時に、観光の面からも、清水は最初の玄関口となり、他県からの交流人口の増大が大いに見込まれ、コロナ禍で大打撃を受けた宿泊施設、飲食産業の皆さんの期待度は計り知れないものがあります。
しかし、アクセスがよくなった分、通過型の観光地になる危険性も課題として残されております。
2つ目の質問です。
教育旅行誘致における課題については、どう捉えているのか。また、どのような対応をしていくのかをお伺いいたします。
昨年より始まっているコロナ禍により、静岡市を訪れる個人観光客や一般団体のキャンセルが相次ぎ、市内の観光サービス業は瀕死の状態に陥り、今年3月には市内の大型観光ホテルも閉鎖に追い込まれてしまいました。
そんな状況下で、学校の
修学旅行などの行き先も大幅に見直され、コロナが蔓延した東京などへの一極集中から、比較的感染者も少ない静岡県が注目されることになり、昨年度は多くの教育旅行が静岡市にも訪れる結果となりました。
ほかにも、静岡市は、平成15年度より静岡型体験観光推進事業を進め、お茶摘み体験や漁港体験、海洋スポーツ体験など、静岡市独自の体験を通じて、高い評価を得ており、県内でもトップクラスの先進地と認識されていたことも要因の1つであります。
これからも教育旅行は観光の柱として、大いに期待ができるものと考えます。